清掃をしなければならない大学当局側にすれば
このような行為は全くの愚挙であり
先生の名誉を汚す極めてハレンチな行為ということになる。
しかし実際にはこの悪戯への対応については
相当頭を悩ませていたものと思われる。
何しろ首謀者が行為に及ぶのはどうやら深夜。
しかもゲリラ的なのであるから
見張っているわけにもいかない。
かといって放置すれば大学の美観と権威に関わる。
．
この悪戯に対して当初当局は
単なる洗浄という手段でした対抗しなかった。
落書きされた像をほぼ完全に元通りに洗い上げるのである。
「首謀者が卒業すればなくなるはず」
というよみであったのであろうか。
それとも首謀者の表現することへのエネルギーを軽視していたのか。
しかしこの悪戯が消えることはなかった。
１０年近くたった現在でさえも続いているのである。
・
しばらくして
銅像の脇に以下のような立て看板が設置された。
折田彦市先生は
第三高等学校の校長として
京大の創設に尽力し、
京大に自由の学風を
築くために多大な功績を残した人です。
像を汚さないで下さい。
総合人間学部
首謀者の心に訴えようとでもいうのであろうか。
．
ところが、このもくろみは見事に裏切られることになる。
出典：「折田先生（像）七変化」
と、完全に当局側をおちょくってしまうのである。
・
どこかのサークル、あるいは寮生が怪しいという噂は絶えない。
これだけ長きにわたりなわれてきた事であるのだから
首謀者へ繋がる手がかりもたくさん蓄積されているはずである。
しかし首謀者が捕まったという話を聞く事は未だに無い。
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